平成18年4月に6年制薬学教育がスタートして10年以上が経過しています。6年制薬学教育は、超高齢社会に対応する医療へのニーズの高まりに呼応して、医薬品を適切に安全にかつ効果的に使用するための知識やそれを伝えるコミュニケーション能力等の充実を図り、社会に貢献する薬剤師の養成を目指してきました。中でも、大学で身に付けてきた知識や技術等を基に実際の医療現場で研鑽する薬学実務実習の充実には力を注いでいます。
平成25年12月に薬学教育モデル・コアカリキュラムが改訂され、平成27年度入学生より改訂カリキュラムが適用され、平成31年度より、その改訂カリキュラムに準じた薬学実務実習が開始されました。改訂カリキュラムでは、「卒業時の到達目標(学習成果、outcome)を設定し、それを目指して教育全体をデザインする学習成果基盤型教育(Outcome-based education:OBE)が取り入れられ、6年制課程卒業時に必要とされる資質(能力)「薬剤師として求められる基本的な資質」が示されています。薬学実務実習は、この「基本的な資質」がどこまで修得できたかを評価する重要な学習として位置付けられています。
薬学実務実習は、病院、薬局でそれぞれ11週間ずつ、計22週間を原則に実施しております。この薬学実務実習を円滑に実施するために、東海地区では、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県の4県に属する薬系8大学(愛知学院大学、金城学院大学、名古屋市立大学、名城大学、岐阜医療科学大学、岐阜薬科大学、鈴鹿医療科学大学、静岡県立大学)と各県病院薬剤師会、各県薬剤師会、各大学病院で東海地区調整機構を組織して連携に努めています。
東海地区調整機構の事務局は、愛知県下の4薬系大学が2年毎の持ち回りで設置しており、令和2年4月からは金城学院大学薬学部内に設置されております。
東海地区調整機構の業務は主に以下の通りです。
現在の薬学実務実習では、医療現場で実際の患者や来局者の方々とコミュニケーションをとり、個々の状況に合わせた薬物療法を考察し提案することに重点が置かれています。社会に真に役立つ薬剤師の育成のためには、薬学生に、病院や薬局で実際の患者や来局者の方々と多くの体験をさせていただくことが何より必要です。将来の優秀な医療人材養成のため、ご支援の程 何卒よろしくお願い申し上げます。
いよいよ6年制薬学教育も第2ステージに入りました。より有意義で効果的な薬学実務実習の実施に向けて、皆さまからのご意見やご提案をお寄せいただきますようお願い申し上げます。
2024年10月1日
病院・薬局実務実習東海地区調整機構
委員長 長谷川洋一